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ショートエッセイ#4『人生の、選べることと、選べないこと』


 デンゼル・ワシントンというハリウッド俳優をご存じだろうか。1970年代からハリウッドの第一線で活躍してきた俳優である。近年では監督やプロデュース業も盛んに行っており、もちろんアカデミー賞も主演男優賞や助演男優賞など輝しい受賞歴を持っている。まさにハリウッドスターの名に相応しい俳優である。ところで、つい先日(2024年12月21日)、周囲が驚くような新たなキャリアを彼ははじめた。なんと……

牧師!

なんでも、この度、ニューヨークにあるケリー・テンプル・チャーチで牧師資格が認められ、牧師としての働きを始めたというのである。繰り返すが、デンゼル・ワシントンと言えば映画好きにとっては知らない人がいない超ビックスターである。その彼が牧師とは、いったい誰が予想しただろうか。

 実は、牧師の資格を持っている有名人は意外と多い。諸外国では大学の神学部が諸学部と並んで一程度の地位を得ているので神学部卒の者も多く、その流れで牧師資格を取得する者も多い。もちろん、資格があることと実際に教会に着任することは違う。しかしそれでも、日本と異なって諸外国では生き方の1つとして牧師が広く認められている。だから「もし私が牧師として勤めたら」なんて妄想が割と現実的なものだし、実際にそうやってキャリア転向をする人もいるというわけだ。

 日本で牧師になろうとしたら、その道のりは険しい。一般的には当該の学位を修士まで取得し複数の試験に合格しなければならず、最短でも7年かかる。ところが牧師は資格として社会から幅広く認められているわけではない。だから諸外国ほど気軽に「もし私が牧師になったら」なんて想像することは出来ないだろう。しかし、「もし私がクリスチャンになったら」と想像することは容易だ。クリスチャンになるのには資格も身分証明も年月もいらない。信仰の告白と教会の承認があれば、洗礼式は執行される。だからぜひ、一度は考えてみて欲しい、「もし私がクリスチャンになったら、私の人生はどう変わるだろうか」と。そして、神様の祝福を頂く人生を歩む選択肢もあるのだということを、知ってほしい。人生には選べないことと選べることがあるが、祝福を頂くかどうかは、選べることなのだ。